悪質なGoogle⼝コミへの対応
新年あけましておめでとうございます。
皆様⽅におかれましては、新春を晴々しい気持ちでお迎えのこととお慶び申し上げます。
旧年中は、格別のご⽀援を賜り、厚く御礼申し上げます。
2025年も、より⼀層のご⽀援を賜りますよう、⼼よりお願い申し上げます。
皆様のご健康とご多幸をお祈りし、新年のご挨拶とさせていただきます。
本年も宜しくお願い申し上げます。
さて、今回のコラムは、前回取り上げました「Google口コミ」について追記していきます。
⼝コミ投稿者はできる?
ある⼝コミによる悪影響が懸念される場合、その⼝コミを誰が投稿したのかを考えることになると思います。
つまり、投稿者の特定の問題です。
この点、Googleはユーザーのプライバシーを重視しているため、一般的方法ではGoogleの⼝コミ投稿者を特定することはできません。そのための法的手段が、発信者情報開示請求です。
・口コミの内容がGoogleのガイドラインに違反している
・口コミ投稿者が実在する人物ではない
・口コミの内容が事実でない
このような状況の場合、発信者情報開示請求によって投稿者を特定できる可能性があります。ただし、そもそも、口コミ投稿者を特定してどうするのか。
この目的を明らかにしてから、適切な対応策を練る必要があります。
Googleの口コミを削除する方法
口コミ投稿者を特定しなくても、対象の口コミが削除できればそれでよい。そう考えた場合、口コミを削除する方法にどのようなものがあるのかを知る必要があります。
1.Googleに対して「不適切な口コミを報告する」方法
・該当のGoogleビジネスプロフィールにアクセスする
・Googleマップ上で該当のビジネスを検索、アクセスする
・Google検索結果ページにアクセスする
これらの各ルートから、該当の口コミを報告するオプションを選択する方法があります。もっとも、Google側には多数の報告が寄せられているのも事実であり、適切に審査してもらえるか、対応が期待できるかは何とも言えないところです。
2.投稿者に削除依頼する
不適切な口コミを投稿したユーザーに直接連絡し、削除を依頼する方法があります。そのためには、投稿者の特定が必要になってきます。なお、投稿者に直接連絡をすることが効果的か、という観点は常に必要です。なぜなら、投稿者が逆上して更に口コミを重ねてしまうこと、削除依頼の連絡を受けたことをSNSで晒すこと、などのリスクが考えられるためです。
3.訴訟(仮処分を含む)
法的には、口コミの削除(削除請求)と、投稿者の特定(発信者情報開示請求)は別個の請求です。その上、発信者情報開示請求においては、Google口コミの場合には、直接投稿者を特定することができないので、IPアドレス(ログイン情報)開示を請求することになります。
手続的負担も相当であることから、訴訟によるべきかについては慎重な判断が必要であるといえます。
4.送信防止措置依頼書による削除申請
弊所では、実効性と費用対効果を踏まえ、送信防止措置依頼書(正式には「侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書」)による削除申請を選択することが多くなっています。
こちらはプロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が策定した削除依頼のための書式に沿って、対象の口コミが「禁止・制限されているコンテンツ」に該当することを法的主張及び証拠をもって明らかにする必要があります。
この手段によるためには、法律構成や立証の点で具体的ノウハウが必要であるのと、米国Googleへの送付につき英訳併記が必須ですので、専門家の助力が不可欠であるといえます。
削除対象となる可能性がある口コミ内容
Googleのガイドライン上、削除対象となり得るコンテンツ(口コミ)は特定・限定されていますが、一般的に検討に上がるのは、「虚偽」または「中傷」を含む口コミでしょう。
ガイドラインにおいて、「虚偽のコンテンツ」とは、誤解を招く情報や事実と異なる内容の口コミとされており、例えば、事実ではない商品レビューや不正確な情報を含む口コミは、虚偽のコンテンツとみなされる可能性があります。
「中傷的なコンテンツ」とは、個人やビジネスに対する中傷や攻撃的な表現、人種差別やヘイトスピーチなどとされており、例えば、他の人や企業を誹謗中傷する内容や、プライバシーを侵害する口コミは、中傷的なコンテンツと見なされる可能性があります。
これらを踏まえて、対象となるGoogle口コミが、削除対象たり得るかには慎重な判断を要します。なぜなら、Googleの口コミは、口コミされた方にとって不都合・不愉快なコメント全てを削除できるものではなく、あくまでもGoogle側が規定している「禁止・制限されているコンテンツ」に該当する、という判断に至ったものに限り、削除が認められるためです。
なお、コメントのない星1つだけの口コミは、不当に評価を下げる目的でなされた口コミであると判断できないことから、Google側が削除を認めないのが実情です。
同様に、口コミされた方にとってネガティブな口コミであっても、単なる個人の感想の領域にとどまる場合も、削除は認められません。
実際の書き込みが、削除対象となる可能性があるか、その判断は非常に難しいところがあります。もし、Google口コミで気になる口コミがありましたら、一度ご相談ください。